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甲斐さんへの手紙

      2017/02/15

2月15日(水)に、フットサルナビ最新号となる3月号が発売になります!
表紙はペスカドーラ町田の甲斐修侍選手。


今シーズン限りでの引退を発表している日本フットサル界のLEGEND of LEGEND。20年にわたる現役生活を振り返ってのインタビューは必読です。

 

そして、昨日の甲斐選手のホームラストゲームを観戦した、元フットサルライターの高田宗太郎氏が「甲斐さんへの手紙」を寄稿してくださいました。

 

取材を通じて甲斐選手と長らく親交のあった高田氏ならではの思いが込められた手紙です。

 

2月15日に発売になるフットサルナビの最新号の記事と合わせて読んでいただければ、甲斐選手の引退特集がさらに感慨深いものになることでしょう。

 

甲斐さんへの手紙

 

拝啓 甲斐修侍 様

 聞き分けは、悪い。
 ほうだと思います。この歳まで現役を続けたのですから。。。

 でも、その聞き分けの悪さは、フットボーラーとして、限界に挑むスポーツ選手として、必要不可欠な要素だったのでしょう。

 

 貴方は逆境だろうが、「ふざけんな、まだいけるだろ」と、その背中で仲間を鼓舞し、いつも、胸を張っていました。どんな強敵を向こうに回そうとも、自信を覗かせ、「負けねぇよ」と。まるで、ワルガキのように。

 

 一方で貴方は、フットサルに、ゲームに、対戦相手に対しては、誰よりもフェアでした。まるで、紳士のように。

 

 そして、プライドやアイデンティティ、大げさに言えば、生き様を賭して、貴方はピッチに立ち続けてきました。まるで、ブラジル人のように。

 

 ブレない信念の強さ。

 それこそが甲斐修侍の真骨頂だと、昔、ある選手が言っていました。今にして、全くの同意です。

 

 華麗なステップワークやボールタッチ、糸を引くスルーパスや時間を止めるループシュート。たぶん最初は、貴方の左足に目がいくことでしょう。もちろんそれらは一級品でした。

でも見つめ続けていれば、やがて気付くのです、そこに内包された精神力に。甲斐修侍の真骨頂に。

 

「点を取る、取らせる、取らせない、ゲームを支配する存在」

 

 これは、貴方がかつて語ってくれた、プレーヤーとしての理想像です。たぶん誰もが究極こうありたくて、のちに結局あきらめる、文字どおりの理想です。

 

 しかし貴方は追い続けた。

 虎視眈々と。

 

 聞き分けが、悪いのでしょう(笑)。
 貴方はいつも狙っていました。

 

 形勢逆転、相手の裏をかいて急所を射抜く、ピッチを切り裂き、時間を止める、ワンプレーを。F以前はタクトを振るいながら、F以後はチームオーダに沿って汗をかきつつ、隙あらばと。

 

 虎視眈々と。

 

 ただ、貴方が醸し出すその雰囲気は、オーラは、見ているこっちにもわかるくらい露骨で、対戦相手は当然「あ、何か狙ってるな」と構えて、会場全体がへんな緊張感で覆われて。虎視眈々は常時、溢れ出ちゃっていて。。。

 

 けれど、だからこそワクワクしました。いつだって目を、離せなかった。今だって。

 

 もしも、甲斐修侍イズム、を定義させてもらえるとすれば、「負けねぇよ根性」や「溢れ出る虎視眈々」が、それなのかなと。

 

 貴方のプレーの残像は、もちろん脳裏に刻まれています。印象に残るプレーは、枚挙にいとまがありません。

 逆光を走るスルーパスも、時間を止めるループシュートも、逆襲の狼煙となるボレーも、起死回生のキックインも、小気味よいステップワークも、何気ないトラップも、逆手で出すサインも、いちいち。

 そう、貴方はいちいち上手くて、いちいち絵になった。その中で、あえて1つチョイスするとすれば、2016年3月の第21回全日本フットサル選手権決勝、対名古屋戦のピヴォ当て。わりと最近のプレーです。

 

 緊迫の大舞台、相手は絶対王者、後半の頭、3−3のタイスコア、マーカーはペドロ・コスタ。現名古屋監督の彼は、元ポルトガル代表で、フットサルの真理を極めた達人のようなプレーヤーでした。対するF最年長、日本フットサル界のカリスマである貴方は、いつもの様に胸を張り「負けねぇよ」と、「虎視眈々」と駆け引きを続け……ズバッと。

 

 このピヴォ当てが戦況を劇的に変えたわけではありません。けれど、僕は嬉しかった。胸が熱くなりました。Fリーグができる遥か以前から憧れ、見つめ続けた背番号5の魂が、相も変わらず、そこにあったからです。

 

 もし、脈々とクラブに受け継がれる「伝統」なんてものがあるとすれば、それは、具体的な「戦術」などではなく、「イズム」みたいな抽象的なもの、なのかもしれません。だとしたら甲斐さん、貴方の引退は、悲しいけれど悲しくなはい。

 

 次のペスカドーラにも、甲斐修侍は生きている、信念は継承されていると、ここ数年の試合から感じとることができるから。

 

 貴方が創ったチームは、やはり、貴方のチームなのです。

 

 僭越ながら提案です。ペスカドーラ町田の5番は、とりあえず欠番にしませんか。

「誰かに」ではなく「クラブに」、あるいは、もっともっと広域に、甲斐修侍の信念は、5番の魂は、受け継がれていくべきだと思うのです。

 

 甲斐さん、僕は貴方に、フットサルの原点を、魅力を、可能性を、未来を、夢を、見せてもらいました。

 

 きっと、多くの人がそうなのです。

 

 代弁させていただきます。

 本当に、お疲れ様です。

 心から、ありがとうございました。

 

 昨日は最高に、やっぱり、カッコよかったです。

 

 2017年2月13日
 元フットサルライター 高田宗太郎

 - Fリーグニュース, インタビュー/コラム

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