

海外ブックメーカーを日本から利用することは違法でなく、合法なので1名の逮捕者も出ていません。正確には"グレーの状態"であり、日本の法律では海外で合法的に提供されるギャンブルを取り締まることができないためです。
ブックメーカーの違法性や日本の法律について解説していきます。
- ブックメーカーはなぜ違法でないのか
- 利用していて逮捕されることはないのか
- 今後違法になった場合どうなるのか
- 日本国内でのギャンブルへの現状方針
この記事では以上の内容がわかります。
ブックメーカーを日本から利用しても違法にならない

結論から言うと日本からブックメーカーを利用することは違法ではありませんが、「グレーゾーン」の状態であり、パチンコ・スロットと同じです。
海外ブックメーカーのほとんどは政府がライセンスを付与して合法的に運営しているものですが、現行の日本の法律にはブックメーカーに関する具体的な法律が明記されていないためです。
ブックメーカーは海外では合法である

海外ブックメーカーはギャンブルが合法である国に拠点を置き、その国の政府が正式に認定したライセンス(運営許可証)のもと合法的に運営されています。
そのサービスをオンラインで提供することも合法であり、日本からオンラインで参加することも当然可能です。
ライセンスの取得は厳しく、公平性や安全性が高い水準で担保されています。
ちなみに日本国内で認められているギャンブル(パチスロ・競馬・競輪・競艇・オートレース・toto・宝くじ)がライセンスの取得を試みた場合、取得できない可能性が高いです。
日本国内のギャンブルは還元率が低すぎる(胴元が儲かりすぎる)ので公平性が低いことが理由です。
海外ブックメーカーの還元率が95%であるのに対し、日本のギャンブルは最も高いパチスロで85%となっています。
> ブックメーカーのライセンスとは何か?ライセンスの仕組みや種類を解説
日本には海外ブックメーカーを取り締まる法律がない
刑法(国内犯)
引用元:e-Gov法令
第一条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
第二十三章 賭と博及び富くじに関する罪
(賭と博)
第百八十五条 賭と博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(富くじ発売等)
第百八十七条 富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2 富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
日本の賭博に関する法律をまとめたものです。
このように現行の賭博罪では、日本国内において運営側と参加者がいる場合の賭博に関する規定しかありません。
例えば日本人が海外旅行に行って、カジノで遊んで帰国したとしても賭博罪が適用されません。
これと同じようにブックメーカーの運営側も海外にいるので、同様に賭博罪が適用されないことになります。
違法なブックメーカーも存在する
違法なブックメーカー
- 日本国内に拠点があるブックメーカー
- 日本人のみを対象としたブックメーカー
- 日本で店舗運営しているブックメーカー
海外のブックメーカーを日本から利用しても違法ではありませんが、上記のケースでは違法です。
ここではそれぞれのケースについて詳しく解説していきます。
またライセンス未取得のブックメーカーを日本から利用しても違法ではありませんが、そのブックメーカーが拠点を置く国では違法であること、安全性が担保されていないことから利用をおすすめしません。
ライセンス未取得でも違法にならないとは?
賭博法の解説にて「プレイヤー、運営どちらも日本にいる場合のみ適用できる」と解説しました。
ライセンスは拠点のある国での運営許可証であり、日本国内のプレイヤーからすれば、ライセンスの有無は違法合法に関係がありません。
ただし海外でライセンスを取得できないということは、運営するサービスに問題がある、ギャンブルの公平性・安全性が担保されないわけですから、利用するべきではありません。
日本に拠点があるブックメーカーは違法

オンラインブックメーカーでも、そのブックメーカーの運営拠点が日本国内にある場合は違法です。
日本国内において運営側と参加者がいる場合の賭博は、賭博罪が適用され逮捕、罰金の対象になり得ます。
優良ブックメーカーはサイトの下部に「運営拠点の場所」「取得ライセンス」を表記しているので、必ず確認しておきましょう。
日本人のみを対象としたブックメーカーは違法
海外に拠点がある場合でも、そのブックメーカーが日本人のみを対象としてサービスを提供している場合は違法とみなされる可能性があります。
賭博法では海外に運営がある場合適用できないはずですが、なぜ違法とみなされるのか実際の事件を例に見ていきます。
スマートライブカジノ摘発事件
2016年3月に「スマートライブカジノ事件」という日本国内で初のオンラインカジノプレイヤー逮捕者を出した事件が起きました。事の顛末は以下の通りです。
インターネット上のオンラインカジノで賭博をしたとして、京都府警は2016年3月10日、大阪府吹田市の30代男性ら3人を、単純賭博容疑で逮捕しました。無店舗型オンラインカジノでプレイヤー(顧客)が逮捕されるのは全国初の事案でした。利用したサイトは英国に拠点ですが、日本人女性のディーラーがルーレットやブラックジャックなどのゲームを提供していました。サイトは日本語でやりとりができ、賭博の開催時間は、日本時間の夕方から深夜に設定されていました。この逮捕においては、画面上に利用客がやりとりする「チャット」機能もあり、府警はこの書き込みなどを元に容疑者を割り出したようです。京都府警は事実上、国内で日本人向けにカジノが開かれて賭博行為をしていると判断したとのことです。
引用元:弁護士ドットコムニュース
賭博法の項で解説したように、海外の業者が運営しているオンラインカジノは基本的に日本の賭博罪は適用されません。
しかしカジノの拠点は英国にあったにもかかわらず、以下の点で運営側は日本国内にいると判断されました。
- ディーラーは日本人女性だった
- 日本人専用テーブルがあり日本語でコミュニケーションがとれた
- 日本時間の夕方から深夜にかけてサービス提供されていた
このように海外に拠点を置くオンラインカジノであっても、完全に日本人に向けたサービスである場合に問題視される可能性があります。
ただしスマートライブカジノ摘発事件は、最終的に賭博罪の適用外であるとして、裁判を経ることなく無罪となりました。
この事件以降はオンラインカジノでの逮捕者は出ておらず、ブックメーカーについては過去1件も逮捕者はいません。
有罪にならないとしても、逮捕されることは大きなリスクであるため、日本人のみを対象としたブックメーカーの利用は避けることをおすすめします。
日本人のみを対象としたサービスの判断基準
日本人のみを対象としたサービスの判断基準は、日本語利用が可能であることや日本語サポート対応といった意味ではありません。
ブックメーカー自体が「日本人のみを対象とした運営を行っている」という意味です。
ほとんどの海外ブックメーカーは該当しませんし、当サイトでは違法でないブックメーカーのみを紹介しています。
日本で店舗運営した場合は違法

海外に拠点を置くオンラインカジノでも、日本国内に店舗を構えて運営した場合は違法となります。
ゲームはオンラインサービスを利用しているものの、日本国内の店舗でスタッフが場を仕切り、場所代の請求や配当金の現金支払いを行うなど「胴元」と見なされる場合は違法です。
このケースで胴元である店舗だけでなく、賭け側のプレイヤーも合わせて逮捕処罰の対象になりますから、絶対に利用しないでください。
日本で摘発される野球賭博・相撲賭博との違い

野球賭博や相撲賭博に関する事件は日本国内でもニュースになるように違法です。
日本国内での野球賭博は賭け側、胴元ともに日本国内に存在するため処罰が可能であり違法です。
また日本国内での賭博は暴力団組織が胴元になっているケースが多く、暴力団組織との金銭的やり取りにも問題があります。
海外で合法であることに加え、政府発行のライセンスを取得しているブックメーカーとは悪質性が全く異なります。
ブックメーカーが日本で違法になったらどうなる?
もしブックメーカーが日本で違法になった場合でも、突然逮捕されることはありませんので、安心してください。
日本から海外ブックメーカーの利用が違法となると、現在日本向けにサービスを提供しているブックメーカーが、日本からの利用を停止します。
これは法律の施行日に合わせて事前に告知がされるので、そうなった場合は口座から出金を行いましょう。
法律は公布の日から起算して20日を経過した日からしか施行できないため、すぐに違法逮捕となることはありません。
違法となる法律が成立してしまったら利用をやめるという解釈で結構です。
経済産業省がスポーツ賭博解禁の議論開始

経済産業省がスポーツ賭博解禁に関して広告収入、テレビの放映権を視野に入れ議論を開始しているニュースが話題となっています。
過去に八百長の歴史のあったスポーツ界では反発が予想されており、スポーツ賭博の解禁に向けた法的整備、基本方針の作成はまだ現実的ではないという見方が強いといえますが、今後しばらくはホットな話題として取り上げられることになるでしょう。
オンラインカジノとは切り分けて扱われる可能性が高い
給付金誤送金事件は記憶に新しく、それを受け岸田文雄総理はオンラインカジノについて「違法なものであり、関係省庁と連携し、厳正な取り締まりをおこなう」との考えを示しました。
ブックメーカーのマーケットの中にはオンラインカジノがコンテンツとして備わっているものがほとんどです。
しかしブックメーカーについては言及されておらず、オンラインカジノとブックメーカーは切り分けられて考える可能性があり、ブックメーカーの規制に関しては影響はないと言えます。
ブックメーカーの違法性まとめ
日本から海外に拠点を置くブックメーカーを利用することは"グレー"のため、違法ではありません。
賭博法で対応することができず、逮捕されることもありません。
万が一今後違法となった場合には、その時点で利用を停止すれば問題はありません。
ただしブックメーカーの拠点がある国では政府がライセンスを発行するほど合法であること、日本でもスポーツ賭博解禁の動きがあることから、今後も海外ブックメーカーの利用が違法となる可能性は低いでしょう。