「海外でサッカーの仕事に就きたい」と考えても、何から始めればよいのか迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
日本国内では情報が限られているため、海外のサッカー業界への転職や就職を本気で目指すなら、正しいステップと情報収集が鍵となります。
本記事では、海外のサッカー求人の探し方から必要な資格、実際の職種ごとの仕事内容、成功事例までを網羅的に解説します。
海外サッカー業界で求められる職種とその概要
サッカー業界はフィールド上の選手や指導者だけでなく、クラブ運営、メディカル、マーケティング、国際業務など多様な職種で成り立っています。
海外での求人を探す際には、自分がどのポジションを目指すのかを明確にすることが成功への第一歩です。
ここでは代表的な3ジャンルに分けて職種の特徴を紹介します。
サッカー選手・コーチ・トレーナーなどの技術職
ピッチ内での活動を中心とする技術職は、最も直接的に「サッカーに関わる」職種です。
ただし、プロ選手でなければ関われないというわけではありません。
コーチやトレーナーとしての活躍の場も広がっています。
Futbol Jobsでの選手・コーチ求人情報
Futbol Jobsは世界中のサッカー関連求人が集まる専門サイトです。
ここでは選手だけでなく、ジュニアチームのコーチやフィットネストレーナーの募集も掲載されています。
スペイン語圏が中心ですが、英語の求人も多く、特にヨーロッパでの就職を目指す方におすすめです。
- 言語スキル：英語・スペイン語が有利
- 掲載職種：選手／GKコーチ／アナリスト／トレーナー
- 対象国：スペイン、ドイツ、ポルトガルなど
応募には履歴書とカバーレターの提出が基本となりますが、過去の実績や映像資料があるとより有利になります。
JICA海外協力隊によるサッカー指導者派遣
技術職として海外での経験を積みたい方には、JICAの青年海外協力隊も有力な選択肢です。
サッカーコーチとして発展途上国の子どもたちに技術指導を行うことで、指導力と異文化適応力を同時に高められます。
JICAが派遣する主な国には、アフリカ、東南アジア、中南米が含まれます。
特に途上国では日本人コーチへの信頼が厚く、現地での指導経験は将来の武器となるでしょう。
マーケティング・マネジメント・エージェントなどのビジネス職
クラブの運営や収益拡大、選手のマネジメントに携わるビジネス職は、語学力や戦略性、交渉力が求められる一方で、専門資格がなくても挑戦できる門戸の広さも魅力です。
HALF TIMEでのエージェント・マネジメント求人
HALF TIMEは日本語で利用可能なスポーツ業界特化型の求人プラットフォームで、近年では海外関連ポジションも増えています。
選手の契約管理を担うエージェントや、クラブ運営に携わるマネージャー職の募集が見られます。
- 必須スキル：英語力、Excel、交渉力
- 歓迎スキル：スポーツマネジメント学位、留学経験
- 勤務地：日本／東南アジア／欧州
企業によってはリモート勤務可能な案件もあり、日本にいながら海外案件に関われるチャンスも存在します。
シティ・フットボール・グループでのビジネス職採用事例
マンチェスター・シティを保有するシティ・フットボール・グループ（CFG）は、世界中のクラブを傘下に持つ巨大スポーツ企業です。
彼らの採用では、国際マーケティング、人材戦略、クラブ間連携など、国際的なビジネススキルが重視されます。
CFGの求人はLinkedInや公式サイトで随時公開されており、特に語学堪能でプロジェクトマネジメント経験のある人材が優遇されています。
海外サッカー業界での求人情報の探し方と活用方法
海外でのサッカー関連の求人は、一般的な転職サイトでは見つけにくいこともあります。
そのため、専門性の高い求人媒体やネットワークを活用することが重要です。
ここでは、信頼できる求人情報の探し方と、活用のポイントを紹介します。
専門求人サイトの活用
サッカー業界に特化した求人情報は、一般的な求人サイトには掲載されないこともあります。
特にコーチング職やフィジカル系職種は、専門の求人プラットフォームに集中しています。
Futbol Jobsの特徴と使い方
Futbol Jobsは、サッカー業界専門の求人掲示板として世界中のクラブや団体が利用しており、毎日新しい求人が更新されています。
特に欧州の下部リーグやユースアカデミーのコーチ職が豊富です。
- 言語：スペイン語・英語がメイン
- 職種：選手、監督、GKコーチ、トレーナーなど
- 掲載地域：スペイン、ドイツ、中東、アジアなど幅広い
有料会員になることで詳細情報へのアクセスが可能になるため、本気で探している方は登録を検討してみる価値があります。
カモメアジア転職でのサッカー関連求人検索
カモメアジア転職は、日本人向けの海外求人を集めた転職サイトです。
スポーツ分野に特化してはいませんが、現地法人の広報スタッフやスクール事業の運営職など、サッカーに関連する求人が見つかる場合があります。
主にアジア地域での日本人需要が高く、語学学校併設のサッカースクールや、地域スポーツ振興団体などが求人を出していることもあります。
一般求人サイトでの検索方法
専門サイトに限定せず、Indeedやdodaなどの一般的な求人サイトでも「サッカー」や「スポーツ」に関する職種が掲載されていることがあります。
検索条件の工夫や、通知機能の活用が鍵となります。
Indeedでの「海外サッカー」求人の探し方
Indeedでは、キーワードに「サッカー 海外」「football coaching」などを指定し、勤務地を「リモート」や「海外」にすることで、対象求人を絞ることができます。
フルリモートのライティング職や、SNS運用業務など、直接ピッチに関わらない職種も候補になります。
dodaでのサッカー関連職種の検索方法
dodaでは「スポーツ ビジネス」や「スポーツ マーケティング」などのキーワードでの検索が有効です。
特に日本国内で実績を積んだ後、海外支社への転勤や出向を目指すキャリア戦略にも有用です。
- 業種：スポーツ用品メーカー、メディア、コンサルなど
- 職種：広報、営業、運営企画、コンテンツ制作など多岐
海外サッカー業界で働くために必要なスキルと資格
サッカー業界で働くためには、現場での経験だけでなく、それを支えるスキルや資格の有無が重要なポイントになります。
特に海外では、語学力や国際的なライセンス、現地の文化に対する理解が採用判断に影響することが多くあります。
ここでは、技術職・ビジネス職それぞれに求められるスキルと資格について具体的に見ていきましょう。
技術職に必要な資格と経験
コーチやトレーナーといった現場職では、プレーヤーとしての経歴以上に、指導力とライセンスの保有が問われることが増えています。
特に欧州圏では、正式なライセンスがなければコーチ業務に就けないケースも少なくありません。
JFA公認指導者ライセンスの取得方法
日本サッカー協会（JFA）が発行する公認指導者ライセンスは、国内外問わず一定の評価を得ています。
ライセンスには「D級」から「S級」までの段階があり、海外で通用するには最低でも「B級」以上が望ましいとされています。
- 取得方法：JFA主催の講習会に参加
- 対象者：実技試験や指導計画の提出が必要
- 所要時間：3ヶ月〜6ヶ月程度
UEFAライセンスと比較されることもありますが、日本国内でまずJFAライセンスを取得し、後にUEFA C級などへ移行するケースも増えています。
海外で評価される指導経験と実績
ライセンスに加えて、実務経験も非常に重要です。
特に以下のような経験が評価されやすい傾向にあります。
- ジュニアユース年代の長期的な指導歴
- クラブでのアカデミー立ち上げやトレーニング設計経験
- 外国籍選手への指導実績（多文化環境下）
加えて、指導記録やトレーニング設計資料、試合分析レポートなどのポートフォリオがあると、書類選考での評価を高められます。
ビジネス職に求められるスキルセット
ビジネス側のポジションでは、サッカーの知識に加えて、一般的なビジネススキルが必須となります。
業務の幅が広いため、どの職種に必要なスキルかを把握し、優先的に準備しましょう。
英語力と多言語対応能力の重要性
海外のクラブや国際組織では、社内外のコミュニケーションの大半が英語で行われます。
ビジネス英語の読み書きだけでなく、会議・商談レベルのスピーキング能力が必要になる場面も多いです。
- TOEIC800点以上がひとつの目安
- ヨーロッパ圏では英語＋現地語（スペイン語、ドイツ語など）
- 中東・アジア圏では日本語と英語のバイリンガル需要も高い
スポーツマネジメントの知識と実務経験
スポーツマネジメントの理論的知識と、実務での応用力が重視されます。
特に以下のような知識・スキルが評価されやすいです。
- イベント運営・スポンサー獲得戦略
- クラブのブランディングおよびSNS運用
- 財務管理・予算計画の立案経験
大学や専門学校でスポーツマネジメントを学びながら、現場でインターンシップを積むことが理想的なキャリア形成につながります。
海外サッカー業界でのキャリア構築のためのステップ
海外でサッカー関連の職に就くためには、段階的なキャリア構築が不可欠です。
いきなり海外で活躍するのは難しい場合でも、国内での経験や資格取得、語学力の強化などを経てチャンスをつかむことは十分に可能です。
このセクションでは、キャリア形成の現実的な流れとステップを紹介します。
国内での経験を積む
いきなり海外に飛び出すのではなく、まずは日本国内での経験を積むことが現実的な第一歩です。
自分のスキルや適性を見極めながら、将来の海外就職に備えた土台を築きましょう。
地元クラブやアカデミーでの指導経験
コーチや育成担当者としての経験は、どの国でも評価される重要な要素です。
特に地域のジュニアユースチームやアカデミーでの長期指導経験は、海外クラブからの信頼を得やすくなります。
- 小学生・中学生への指導
- 年間の育成計画作成・実施
- 大会・試合の運営経験
このような経験をポートフォリオとしてまとめておくことで、面接や応募書類に活用できます。
スポーツ関連企業でのビジネス経験
ビジネス職を目指す方にとっては、スポーツメーカーやイベント運営企業、マーケティング会社などでの就業経験が役立ちます。
サッカーに直接関係していなくても、業界の構造や商習慣を学ぶことができます。
特に、以下のような業務経験は海外でも通用しやすい傾向があります。
- スポンサー営業や法人向け提案活動
- 国際イベントの運営補助や通訳業務
- 海外との契約調整や英文資料作成
海外での実務経験を積む
国内での準備が整ったら、実際に海外での実務経験を積んでみましょう。
語学力の強化にもなり、現地のネットワーク構築にもつながるため、将来の本採用につながる可能性が広がります。
海外インターンシップやボランティア活動
短期でも構わないので、海外のクラブや団体でインターンやボランティアとして活動する機会を見つけてみましょう。
現地での評価が得られれば、そのまま契約や紹介に発展することもあります。
- スポーツNPOでの子ども向け指導
- 地域クラブのメディア・SNS運用補助
- 大会時の通訳や会場運営スタッフ
これらは経験値としてだけでなく、現地の就労ビザ取得や紹介状獲得にもつながる重要な一歩です。
海外のスポーツ留学プログラムの活用
最近では、欧州や北米の大学・専門学校で「スポーツマネジメント」「コーチング学」などを学べる留学プログラムが多数あります。
これらに参加することで、学位を取得しながら実習を通じて現地のクラブとも接点を持つことができます。
例えば、イギリスやオーストラリアの大学では、プロクラブと提携しているコースもあり、実践的なトレーニング環境で学ぶことができます。
海外サッカー業界での成功事例とキャリアパス
理想を持って挑戦するだけではなく、実際に海外サッカー業界で活躍している人たちの事例を知ることは、現実的なキャリアのヒントになります。
どのような背景を持ち、どんなステップを踏んで成功を手にしたのか、ここでは代表的なパターンをご紹介します。
シティ・フットボール・グループでのキャリア構築事例
マンチェスター・シティを擁するシティ・フットボール・グループ（CFG）は、世界各地のクラブを運営するグローバル企業です。
CFGでは、国籍に関係なく才能ある人材を積極的に採用しており、日本人スタッフがマーケティング部門やクラブ運営に携わっているケースもあります。
- 海外大学でスポーツビジネスを専攻
- 大学在学中にインターンでクラブ運営に携わる
- 卒業後、CFGのアジア拠点に配属 → 欧州本社へ転籍
このように、グローバル展開をしている企業では、学歴と実務経験の組み合わせによって海外キャリアの扉が開く可能性が高まります。
アジアサッカー連盟での日本人スタッフの活躍事例
アジアサッカー連盟（AFC）は、マレーシアに本部を構えるアジア地域を統括する国際団体です。
ここにも日本人スタッフが多数在籍しており、競技運営、戦略広報、技術部門など多様な分野で活躍しています。
共通して見られるキャリアの特徴は次の通りです。
- 日本国内でJリーグや協会関連業務に従事
- TOEFLやIELTSなどで英語力を証明
- 国際大会運営の経験を積む
AFCの採用は競争率が高いものの、国際的な視点と多文化理解、そして実務経験を備えた人材にはチャンスが広がっています。
まとめ：海外サッカー求人でキャリアを広げるために
海外サッカー業界で働くという目標を実現するためには、明確なビジョンと戦略、そして粘り強い行動が欠かせません。
今回ご紹介したように、技術職・ビジネス職それぞれに適した求人サイトの活用方法や、必要な資格・スキル、さらにはキャリア形成のステップを理解しておくことで、より現実的な道筋を描くことができます。
また、国内外で経験を積むことは、単なる実績づくりではなく、自信や人脈の構築にもつながります。
自らの強みを客観的に見つめ直し、一歩ずつ理想の職場に近づいていきましょう。
今はまだ情報収集の段階かもしれませんが、正しい準備があれば、世界中のピッチであなたのスキルが必要とされる日が必ず来ます。
