

ブックメーカーのオッズは賭けの倍率のことで、オッズが高いほど勝利時の払い戻し金が多い反面、多くの要素から実現する可能性が低いことを意味します。
ブックメーカーのオッズについて解説していきます。
- オッズとは何か
- オッズはどのような仕組みで決まるか
- オッズの見方と考え方
この記事は以上についてがわかります。
ブックメーカーのオッズとは何か

ブックメーカーのオッズとは、賭けに勝利した際に払い戻される金額の倍率のことです。
画像はリヴァプール vs マンチェスターCのコミュニティ・シールドを例としたオッズです。
リヴァプール勝利に賭け、リヴァプールが勝利すれば掛け金の2.87倍が払い戻されます。
引き分けに賭け、試合が引き分けで修了すれば掛け金の3.40倍が払い戻されます。
マンチェスターC勝利に賭け、シティが勝利すれば掛け金の2.37倍が払い戻されます。
この試合ではオッズがほぼ拮抗していますが、過去の統計データやプレイヤーのベット傾向から、この時点でのオッズは「マンチェスターCがやや有利」と読むこともできます。
ブックメーカーのオッズの仕組みについて

ブックメーカーのオッズを決めているのはトレーダーやオッズコンパイラーと呼ばれる専門職です。
トレーダーやオッズコンパイラーは、オッズの計算知識はもちろん、各スポーツの専門知識にも精通しています。
彼らが様々なデータを元に、ブックメーカーで提供するオッズを確定しています。
もちろんオッズにはブックメーカーの利益も加算されています。
ブックメーカーの利益といっても、ゲームが公平であるかライセンスで監視されていますし、海外ブックメーカーの還元率は95%(日本のギャンブルで最も還元率が高いパチスロで85%)と薄利なので、プレーヤーが大きく損をするほどの利益は上乗せされていません。
オッズはなにを元にしてどう決まるのか
オッズが決まる要素
■ 過去の統計データ
・チームや個人の成績
・順位
・シーズン中のパフォーマンス
・天候
・担当する審判
・ホーム&アウェー
・過去対戦成績や相性
・他様々なデータ
■ プレイヤーのベット傾向
・現在までにベットしている人数
・ベットしている人数の偏り
■ 試合の状況(ライブベットのみ)
・残り試合時間
・試合の状況と展開
・退場やファール数
・選手のコンディション
・戦術
ブックメーカーのオッズはこのように様々な要素を元に数字を確定し、ブックメーカー側の利益を上乗せした数字を提供します。
過去統計について深掘り解説
過去統計データについて、もう少し具体的に解説します。
こちらはテニスの「ジョコビッチ vs キリオス」の対戦成績です。
ジョコビッチは誰しも名前を耳にしたことがある王者であり、キリオスはランキング40位と知らない方もおられるでしょう。
ジョコビッチはこのシーズン、グラスコート7戦全勝とグラスコートでの試合を得意としています。
※画像中央び水色部分 Grass 7/0
両者は過去に2度の対戦があり、2戦ともキリオスが勝利しているように、キリオスはジョコビッチとの相性が良いようです。
しかし過去対戦では2戦とも接戦でハードコートでの試合、しかも4年も前の対戦なので、過去対戦は今回の試合の判断基準になりません。
つまり統計データからは「ジョコビッチの方が格上のプレーヤーである」「ジョコビッチは今回対戦するグラスコードで今季無敗」ということが読み取れます。
オッズは試合終了まで変動し続ける

ブックメーカーのオッズは、ベット受付開始から試合終了まで変動をし続けます。
変動の要因は上の解説で挙げたもののほか、試合前に選手が怪我をしてしまったり、監督がベンチ入りできないなど、刻一刻と変化する状況が反映されます。
試合が開始してからもライブベッティングによって賭けを行うことができ、試合の進行状況や点差によってもオッズが変動します。
ベットの受付は数日前から開始されますが、試合開始までに何があるかわかりません。
ベットは遅ければ遅いほど負けるリスクを減らせますし、試合の序盤を観てからベットできるライブベッティングが、最もリスクが低く勝ちやすいと言われています。
オッズと確率の違い
- 確率:ある出来事の中で、特定の結果が起こる可能性を数値で表したもの
- オッズ:ある出来事の中で、特定の結果の起こりにくさを数値で表したもの
オッズと確率は表しているものが異なります。
それぞれ「起こる可能性」と「起こりにくさ」を表したもので、確率は100%が最大ですが、オッズの数字を合算しても100%以上となります。
オッズの控除率を計算する方法

オッズには控除率(ブックメーカーの利益)が含まれています。
少し計算が難しいですが、オッズの控除率は上のように計算できます。
ブックメーカーには控除率(胴元の利益)と還元率(プレイヤーへの還元)があり、合わせると100%となります。
ブックメーカーの還元率は日本国内のどの公営ギャンブルよりも高く、平均95%程度と言われています。
ブックメーカー方式とパリミチュエル方式
ブックメーカーのオッズには2種類の決め方があります。
オッズの確定は運営会社によって異なりますが、ほとんどの海外ブックメーカーは「ブックメーカー方式」を採用しています。
ブックメーカー方式
ブックメーカー方式とは、ブックメーカー各社が独自にオッズを確定する方式です。
ほとんどのブックメーカーがこのスタイルを取り入れており、オッズの小数点以下など細かい部分は、トレーダーやオッズコンパイラーが計算しています。
パリミチュエル方式
パリミチュエル方式とは、賭け金を1度すべて集めたうえ、決められた割合を運営側の取り分として差し引き、残りを配当として当選者や賭けに勝った人に分配する方式のことです。
日本の競馬・競輪・競艇では、パリミチュエル方式を採用しています。
ブックメーカーのオッズの種類
ブックメーカーのオッズ表記には「デシマル」「アメリカン」「フラクショナル」の3種類があります。
いずれも表記が異なるだけで、オッズは同じです。
日本のプレイヤーでは小数点で倍率を表す「デシマル」を利用されることが最も多いです。
それぞれのオッズ表記について見ていきましょう。
デシマル

デシマルオッズ(decimal odds)は、小数で表したオッズ表記のことで、日本人に一番馴染み深いオッズ表記のひとつです。
競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルではほとんどが小数で表されたデシマル表記なので、ブックメーカーで遊ぶ際もデシマル表記にすると、とても分かりやすいと思います。
アメリカン

アメリカンオッズ(American odds)とは、数字の前に「+」「-」のついた表記のことです。
日本人にはあまり馴染みのない表記ですが、アメリカ市場で人気のあるブックメーカーではよく見かけます。
「+」のほうが「-」よりオッズが高く、オッズが2倍以上になると「+」で表現されるというものです。
「+」のことをポジティブと呼び、格下の選手(チーム)につけられる傾向があります。
逆に「-」のことをネガティブと呼び、本命の選手(チーム)につけられる傾向があります。
画像ではセレッソ大阪が「+225」となっており、これは¥10,000をベットして勝利した場合、¥22,500の勝利金が得られることを意味し、払い戻し金は「10,000+22,500=32,500円」と計算します。
このようにアメリカンオッズでは基準値を100としており、「+」であればオッズの数字は配当、「-」であれば100を得るための賭け金がこれくらい必要だということを表しています。
フラクショナル

フラクショナルオッズ(Fractional odds)とは、オッズを分数表記で表したもので、主にヨーロッパ市場で人気のあるブックメーカーによく見られます。
フラクショナルオッズは、分母の数字を賭けた場合に勝利すると分子の数値が得られるという非常にシンプルなものです。
画像ではセレッソ大阪のオッズが「9/4」になっています。
これは¥4,000をベットして勝利すると、賭けた¥4,000と勝利金¥9,000を足した¥13,000が払い戻されます。
13,000÷4,000=3.25となりますので、デシマルオッズに当てはめたときと整合性がとれていることが分かります。
一方で横浜Fマリノスのオッズを見ると、「EVS」となっています。
EVSはEVENSを略したもので、分数で表すと1/1と表記されます。
¥10,000をベットして勝利すると、¥10,000の勝利金が足された¥20,000が払い戻されます。
20,000÷10,000=2.00なので、オッズは2.00倍ということを意味します。
ブックメーカーのオッズをどう見るべきか・考え方

ブックメーカーのオッズを適切に見て、考えることが勝利に大きく繋がります。
オッズを適切に見るポイントを解説していきます。
倍率だけで判断しない
上で解説したように、オッズは確率ではありませんし、控除率が加算されているので、安易にオッズの倍率だけで判断するべきではありません。
また逆に日本の競馬レースなどでは、競馬に精通するプレイヤーからして「手堅いレース」であるのに、高いオッズが設定されているケースもあります。
オッズの倍率だけでなく、試合やレースの中身をよく確認してベットを行いましょう。
試合開始直前までオッズの動きを確認する
試合開始直前、更にはライブベッティングで賭けることが最も勝率は高くなります。
ライブベッティングでは試合中もベットすることができるので、試合前練習の怪我で出場できない選手や、試合序盤の流れ、両チームの戦術を見てからベットできるためです。
スポーツは天候・怪我・日程によるコンディション・突発的なトラブルなど、様々な要因で試合の様相が大きく変化します。
試合開始まで期間がある場合、そこから試合開始までに起きる事象はオッズに反映されていないため、主要選手が怪我をしてしまったり、コンディション不良のニュースなどを加味して賭けることができません。
ブックメーカーによってオッズが異なる
ブックメーカーのオッズは、それぞれのトレーダーやオッズコンパイラーがオッズを決めているため、同じ試合でもオッズが異なります。
こちらはテニスの試合のオッズを比較したもので、この試合でもブックメーカーによってオッズが異なることがわかります。
自分のベットしたい試合のオッズが高ければ勝利時の払い戻し金も大きくなるため、ブックメーカーは複数登録して、該当する試合でオッズの高いブックメーカーに賭けるのがおすすめです。
ただしブックメーカーには出金条件が存在するので、あまりに多すぎるブックメーカーの併用はおすすめできず、3つ程度が良いでしょう。
またブックメーカーのオッズ差を利用した「アービトラージ」という賭け方がありますが、これはブックメーカーで原則禁止としており、アカウントがペナルティを受ける可能性もあるのでやめましょう。
ブックメーカーのオッズから期待値を計算する方法
ブックメーカーのオッズを利用して、稼げる期待値(プレイヤーに戻る平均金額)が計算できます。
オッズを元に期待値を算出することで、機械的にトレーダーやオッズコンパイラーの裏をかき、より安定した勝利を目指すことができます。
期待値の計算式
1/選ぶオッズ×勝利金-1/選ばないオッズ×ベットする金額
少しわかりにくいので具体的に見ていきます。

リヴァプール(2.87)vsマンチェスターC(2.37)・引き分け(3.40)を例に、リヴァプール勝利に¥10,000をベットするとして計算します。
1/2.87×(28,700-10,000)- (1/2.37+1/3.40)×10,000
= 0.348 × 18,700 - (0.422 + 0.294)× 10,000
= 6507.6 - 7,160
= -652.4
この計算結果からわかることは、「リヴァプール勝利に、¥10,000賭けると平均¥652.4の損失が出る」ということです。
期待値を比較する
ブックメーカー | リヴァプール勝利 | 引き分け | マンチェスターC勝利 |
---|---|---|---|
ウィリアムヒル | 2.87 | 3.40 | 2.37 |
bet365 | 2.90 | 3.30 | 2.40 |
ボンズカジノ | 3.00 | 3.45 | 2.39 |
3つのブックメーカーを例に、リヴァプール勝利について上と同様の計算を行います。
- ウィリアムヒル:-652.4円
- bet365:-645円
- ボンズカジノ:-420円
このように、ブックメーカーによって期待値が異なります。
ブックメーカーで勝つためには、ベットするスポーツへの精通した知識や事前の情報収集に加え、期待値などの各ブックメーカーの裏にいるトレーダー(オッズコンパイラー)の傾向も把握することで、より安定して勝つことができるでしょう。
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ブックメーカーのオッズまとめ
ブックメーカーのオッズは払い戻される金額の倍率のことで、各ブックメーカーのトレーダー(オッズコンパイラー)が決めています。
オッズは過去の統計データやプレイヤーのベット傾向などから決められ、控除率(ブックメーカーの利益)を上乗せされて確定します。
オッズは受付開始から試合終了まで変動を続けるため、試合開始直前やライブベッティングでは、より有利なベットを行うことができます。
各ブックメーカーのトレーダーがオッズを決めるため、ブックメーカーによってオッズが異なります。
オッズの倍率だけでベットを決めるのはおすすめしませんが、適切に読み解くことでオッズは勝率を上げる大きな指針になることは確かです。